3つの設計

意匠・構造・設備

建築設計は3つに分類されますが、それぞれを暗記しているのはすでに実務経験のある社会人だけでなく、そこに就職しようと勉強している学生さん、 工務店に住宅を建てたいと相談している施主など、実は多くの方が知っています。 ではその3つとは何があるのか、意匠設計に構造設計、そして設備設計です。

意匠設計は一番のベースになる建築設計で、その建築物の屋内の間取りや外観などがこれによって決定されることになります。 注文住宅でなくとも新築の住宅を建てたり、競技場や体育館を作る場合は、まずコンセプトを決めてからそれに沿ったデザインで設計を進めます。 「家を建てたいな、コンセプトは輝きで」と施主からの依頼があれば、24時間365日眩しく光っている住宅を意匠設計することになるでしょう。 どのように光らせるかは設計士の腕の見せ所で、闇雲に蛍光灯や白熱灯をあらゆる隙間にはめ込むだけではなんの美学も統一感もない明るい建物になるだけです。 それでも一応は輝いているので不合格とはなりませんが、施主はがっかりしそうなつまらないアイデアでしょう。 輝いているだけではなくその光をデザイン的にも活用し、より優雅な外観となるよう設計しなければ報酬を得るに値しない仕事です。 このあたりのアイデアは経験や閃きが物を言いますので、一流のプロはそれなりの報酬を受け取ることが認められているのです。 誰にでも思いつく単純な設計ほど対価は低くなりますし、皆が口を揃えて「これは素晴らしい、英語で言うとワンダフルだね」と賞賛する 眩い注文住宅を設計できるようになれば、この業界でガッポリ稼ぐことも夢ではありません。

2つ目は構造設計で、これはデザイン的なものではなく建物の構造部分を設計するので地味ながらけっこう重要な部分です。 地震の多い島国の日本では建物を建設する際に耐震がどうのこうのとよく口にされますが、それを担当するのも構造設計になります。 国の定めた基準をクリアできるよう丈夫で揺れに強い設計をして、たまに発生する地震から住民を守ることができる住宅にするのです。 滅多に地震の起きない大陸に建設される建物よりも、日本の建物は揺れに強くなければならないことは これまでもさんざん言われていることですから皆さんも重々承知だろうとは思いますが、 「何十年かに1回あるかどうかの天災のためにそこまで慎重にならなくても、費用が余計にかかるんだしあまり力を入れたくはないんだよな」と 消極的な方もまだまだいるようです。 なので施主の意見も聞いて国の基準を最低限クリアできる程度の設計で費用を抑えるか、どんな揺れでも倒壊しない頑丈な建物にするか、 注ぎ込める予算に応じて構造設計も変化させることになるでしょう。 また耐震設計だけではなく建物の荷重なども計算し、安全面全てにおいて意味を持つのがこの構造設計です。 風が強い土地だったり毎年冬には雪が積もる土地ですとそのことを踏まえた建築設計の建物が求められますので、周囲の環境に合わせる頭脳も必要です。

3つ目の設備設計は主に設置される設備についてとなります。 建物を利用する側の人間は水道管の配置やコンセントの位置を真面目に考えることはなく疎かにしていますが、 これは使いやすい場所にあって当たり前だと考えてしまっているからでしょう。 でも自動的に便利な位置に配置されているのではなく設計士が一生懸命思案して、快適に使える箇所に設置しようという努力がその裏にはあるのです。 電話回線はどうなるか、空調はどこにあればフルに能力を活かせるか、そうした事を計算して行われるのが設備設計です。

以上3つが建築設計の柱となり、それらを全てバランス良くこなしてくれるのが誰からも愛される優秀な建築設計会社でしょう。