具体的な流れ

建築設計のお仕事の流れ

最初にどんなコンセプトで建築設計を行いたいのか、それをクライアントに確認すべく打ち合わせを行うことから始めます。 そこでどんな建物を所望するのか、何に使いたいのか、予算はいくらまでと考えているのかを聞き取り、それに対して提案やアドバイスを行います。 注文住宅なら家族が何人いて住居として毎日使用する人間が何人いるのかなど、設計するうえで知っておかなければならない事柄がいくつかあります。 どうやら6人家族なのに部屋の数がこれでは足りない、広い庭園を要望しているけどそちらを削ってもう2部屋増やしたほうがよさそうだ、 といったことに早い段階で気が付いたのなら、そのように助言してあげる親切さも必要です。 依頼主は建物の間取りには疎い場合も多いので、プロである建築設計事務所の方が相談に乗っていろいろと提案しないと素敵な住宅はなかなか完成しません。

一通り要望を把握したら今度は建設予定地へ行ってどこまで実現可能かを調査しますが、1回では満足できないこともあるので 時間をずらして数回視察をするとより正確な情報を得ることができるでしょう。 日当たりはどうか、騒音対策はどの程度必要になりそうか、そうしたことを観察して設備を追加したり変更する理由を探します。

こうしてクライアントの要望と現地の様子を両方とも知ることができたら、より具体的なアイデアを相談して決めていく流れへと移行します。 オープンな外構にしてお庭と住居内に光をたくさん取り込みたいと希望されても、立地的に難しいようなら諦めてもらい別の方法を提案したりします。 例えばオープン外構ですが、これは静寂な住宅街ならマッチするし素敵なプランなのでしょうが、立地条件によっては好ましくないこともあるのです。 人通りの多い繁華街に近い場所、駅前の人の往来が激しい場所なんかですと、敷地内のお庭に無断で足を踏み入れられることは避けられません。 ゴミもきっと捨てられるでしょうし、花壇のお花も勝手に摘んで持っていかれる回数は年に10回以上となりそうです。 頭がお花畑というわけでなくてもそうしたことに疎い人は無用心にオープン外構を欲しがったりすることも多いので、 現地の様子を見て「それは危険です、泥棒や空き巣が侵入し放題になりますよ」と止めてあげる専門家の存在は重要です。

このあたりで基本的な設計は決まってくるので、図面を作成して大まかな費用も算出してクライアントに提示します。 大きな仕事になりそうなら模型とジオラマも製作して完成時にどうなるかをわかりやすくするのもいいでしょうが、 それには費用がかかるので必ずしもやる必要はないことです、3Dプリンタを使いたくてウズウズしているのでなければ。 外観や間取りが決まってきたら内装や設備もどんどん決めていきます。外壁の材質はどうするか、フローリングがいいのか畳がいいのか、 この部屋は和室チックにしてお茶会を開ける設備を充実させましょう、など決めなければならないことは山ほどあるのでサクサクと進めましょう。 しかしあくまで依頼主の要望に応えながら設計しなければなりません。 勝手に決めるのではなく最終確認も怠ってはいけません。

建築設計が全て完成したら、施工会社を選ぶ段階へ進みます。 それまでの実績や信頼度も考慮してより有利な見積りを出してきたところに決めますが、ここが安いからと選定してはいけません。 図面どおりに、設計どおりに施工する技術を持っていない業者を選んでしまうとトラブルの発生は不可避ですし、 完成後もあとからどんどんクレームが届けられ担当者は泣きたくなってしまいます。 良い品を手に入れたいのなら相応の対価を支払わなければならないと肝に銘じ、安易に安い施工業者に飛びつかないように気をつけましょう。 工事が始まってもそれで終わりではなく、ちょくちょく現場へ赴きしっかりと設計通りに作業が進められているかをチェックします。